2008年12月23日

1年を振り返れ!酔いどれ雑談企画08 vol.2 <邦楽>

 2回目は、ロキノン女子、ゆらりゆらさんの登場。

 今年は洋楽シーンが楽しすぎてあまり邦楽を追えてなかったので教えを請おうと思ってたんですが…ええ、完全に泥酔してましたね。ホント申し訳ない。
 その他にも謝らなきゃいけないことがあるような気がするけど、まあごめんより、ありがとうを積極的に伝えたいよね。いえ、こちらの話です(またか)

 それはホントにともかくとして、まあ冗談抜きでこの娘さんはよくみてらっしゃいますよ。ええ。
 そしてやはり、性別の違いは、観点の違いに如実に反映されます。非常におもしろい、新たな発見がたくさんあった回でした。
 
 
 
 
ゆ 「こんばんは!」

み 「ようこそ!それじゃあゆらちゃん、まずは本題に入る前に好きなアーティストを教えてくださいな。」

ゆ 「はいはーい。いっとうすきなのがくるり、次がGRAPEVINE。次点がsleepy.ab、APOGEE、OGRE YOU ASSHOLE、Syrup16gです。
あとは、順位いろいろ変動するのでアルファベット順で。ACIDMAN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、BEAT CRUSADERS、BOOM BOOM SATELLITES、monobright、Polaris、POLYSICS、rei harakami、SUPERCAR、THE BACK HORN、9mm Parabelum Bullet、
クラムボン、サカナクション、チャットモンチー、ゆらゆら帝国、岩瀬敬吾、平沢進、湯川潮音…こんなかんじです。多い」

み 「流石だな!ふむふむ、大体知ってるな。よしよし(?」


『ワルツを踊れ』とはなんだったのか

み 「それじゃあいきなり去年の話で恐縮なんだけど、くるりの『ワルツを踊れ』、あれはどう見てる?個人的には凄く好きなんだけど」

ゆ 「ワルツですか、私もずいぶん気に入りました。感動のあまり勢いでものすごい情念こめたはがき出したらロッキングオンの冒頭にのったくらいの愛(実話)ちょっとその記事さがしてきます。リアルタイムな感想かいてましたから」

み 「載ったのか!すごいなそれは!」

ゆ 「"国境もジャンルも超越した、ただただ純粋な音楽。単なるロックとクラシックの融合、なんてもんじゃない。昔のくるりは照れ隠しにひねくれながら愛や幸せをうたいつつ、基本的にはなにかにいらだっていたりやるせなさを抱えたりしていた。下品でいやらしい変態さを露骨に表明したり、死と生を狂ったように叫んだり、体に訴えるダンスビートでみんなを酔わせて躍らせたり、そうかと思えば唐突に直球ラブソングを投げてよこしたりと、時代と環境に反応し影響されながら気まぐれにうつろうのが、いままでのくるり。そういう「反抗期のおとこのこ」なかんじはすき。でもそれが今回変わった。立派な「大人のおとこのこ」になった。きれいな感情も鬱屈した精神も猥雑な下心も出すけれど、むかしのような武装や照れ隠しはない。こころからまっすぐ。だからしっかり聞き手にとどくし響くようになったと思った。"以上、当時の自分の感想の概略でした」

み 「ああ、そうだそうだ。「ワルツ」はすごくシンプルな言葉で紡がれたアルバムだけど、あれはそう、完全な「大人」の作品なんだよね。当時「ロックとクラシックの融合」が盛んにフォーカスされてたけど、僕は音が云々というより言葉をストリングス等々に溶かした部分がとてもクラシックだなあ、と思ったんだよね。クラシックって言葉がないけどストーリーがあるから。それはやっぱりその後のDVDにもなったオーケストラとのライヴで完成を見たな、と。あれはホントすごかった。まあそれはさておくとして、そうした言葉を溶かす、て部分と「大人」という話は繋がってて。思春期的な時期というのはやはり色んなものが肥大化していく時期だと思うのね。で、ある程度までいくと取捨選択が出来るようになって、適切さが増していく。その体現とでもいえると思うんだよ『ワルツ』は。いや、いい話をきけた。「大人」という視点は抜けてたな」

ゆ 「ワルツの本質は「クラシックとの融合」ではないとおもいます。くるりがおっさんモードに移行したのは完全にあれが転換期です。あそこから、成熟して『これ以上スキルをあげる必要はないから、この実力でやりたいことやりたいように、まっすぐシンプルに力抜いてやったらええねん』っていう作品ではないかしらん。大人ですね」

み 「ゆらちゃんの見方は凄く正しいと思うのね。というのも、くるりがシーンの先頭を走ってきたのは間違いないだろうから、どこかに気負いじゃないけど「新しいものを呈示せな」っていう気持ちがあったと思うんだよ。でもそれに続く後進バンドたちが思うほど…っていう面が少なからずあったと思うんだよね。だから逆にそのシンプルでええやんっていう姿勢が明確なカウンターとして機能してるというか。いや、「ワルツ」は最高に新しいんだけどさ。まあ、それ故シンプルでありながら同時に野心的であり、かつ実験的でもあるという。長年前線で戦ってたバンドならではというかね」

ゆ 「くるりはしかし、そのシンプル化によってえらくおっさんになりましたけどねー(笑)なんかライブなんて、自由でやりたいほうだいで新進芸術家のパフォーマンスみたいだし、よっぱらったおじさんの趣味みたいでもあり、若さはないですね。いい意味でふけたなー」

み 「はは(笑)」

ゆ 「でもあそこで一定の完成をみただけに、今後が不安でもあり。また、アルバム構成としては多少不満があり、後半がたるみぎみかな。『ハム食べたい』以降。『恋人の時計』にクライマックス感」

み「そうそう、「ワルツ」に関しては岸田君本人も「恋人の時計」までが一番やりたかったこと、みたいな事言ってたからなあ。いやはや的確だな、ゆら嬢」


ゆら嬢の08年。

み 「さて今年のお話。今年はどんなモードで聴いてましたか?」

ゆ 「今年は新人漁りも新譜チェックも、まったくしない年でしたねー。もう好きだとわかってるひとの新作や、大物の過去作をひっぱりだすかんじでした。具体的にはくるりライブ盤、バイン初期にどはまり(LifetimeとHere)、Ogre You OGRE Assholeをききこんで本格的にはまる。それからシロップ音源をまとめて入手して自分内大流行。sleepy.abに出会い衝撃を受ける。スーパーカーの裏ベスト(B)のDisc2だけききまくる。って感じで。まったくあたらしいものきいてませんね」

み 「ふむふむ。じゃあ08年を振り返るって言いながらあんまり今年の聴いてない2人がいるのか(笑)お話の中で注目したいのは注目したいのはやっぱりOGREか。去年『アルファベータ〜』聴いてかなり大ハマリした(年間16位)んだけど。今年のミニアルバムは聴けてないんだけどどうだったのかな?」

ゆ 「オグレにいさんは実力がとんでもないなあと。洋楽(レディヘ)かじりだしたら、妙にオグレ好きになりました。日本ロックよりUKロックの魅力をもっているのかも。アルバム出すごとに明るさとつきぬけ感が増していますね。今作は、ゆら帝のエンジニアがはいったことで、あかるいながら底辺にどろりとしたものが流れるようでやっぱりいいなとおもいます」

み「OGREは確かUSインディから影響受けてたんだっかな。モデストマウスからバンド名もらったくらいだから。ただ、日本のバンド全体に言えることだけど、とにかくUK特有の叙情性との同調性があるんだよね。だから、その辺をハイブリッドに、上手にやってるバンドだね、彼らは。言葉の選び方も秀逸だし。そうかゆら帝のエンジニアが入ってたのか。聴かなきゃマズイなこれは」

ゆ 「オグレ兄さんは、あの言葉選びのむちゃくちゃさがむしろすがすがしいですよね。歌詞があまりに青春ぽいとまったく聴けなくなる身なので、完全に「声も楽器の一種!」となっていればそれもよし、とおもいます。ただ、あの芸風でどうすすんでいくのでしょうねぇ。歌詞の意味をどんどん分解して、最終的にはまったく意味のない単語の羅列や擬音のようになっていくくらいしかおもいつかない。…あ、それやったのって後期スーパーカーだなー。ううむ」

み 「一見(一聴)して意味の分からない単語の羅列でも、必死に解析していくと聴き手個人に突き刺さるような何かがある、という絶妙なバランスが保てれば文句なしですけどね。ただそういう音楽ってどうしても悪い意味で小さくまとまっちゃったり、最悪バンド自体の崩壊に突き進んでいっちゃったりするからなあ。そこは注意しないとなあ」

ゆ 「スーパーカーは崩壊例ですねぇ…」

み 「あと、sleepy.abは今ちょっと試聴してみるけど、何が琴線に触れたんだろう?」

ゆ 「基本的にはこじゃれているけどちょっとださい、緩慢で茫洋とした、雰囲気重視の鬱ロック、というのが自分の嗜好だとこの1年でかたまりました。ここにスリーピーはうまく合致しましたね。ゆれて漂うゆっくりとしたメロディ、ゆがんで重なるきらびやかなギター、哲学的な、思慮深い少年のかいたような歌詞、妖艶でなぜか性的なにおいのするボーカル。どこかにたましいもっていかれそうになります。和製レディオヘッド」

み 「sleepy.ab、聴いてみた。ふむ、ありそうでなかったというか、いい意味での雰囲気重視な感じがここにはありますね。で、確かにこの感情を排したようなヴォーカリゼーションて時としてすごく妖艶さを出すんだよね。「哲学的な、思慮深い少年のかいたような歌詞」って一番僕が好きで普遍的な価値を持つところじゃないか!電子音との絡みもいいし、ちょっと注目しておこうかな」


「青春」にはたくさん種類があって、そしてそれぞれ許容値があるんだ。

み 「ところで、青春ぽすぎると聴けなくなる、というのは何で?かゆくなっちゃう?」

ゆ 「アンチ青春なのは、中二病の後遺症です。まさに中学のときに19にはまりにはまっていて、アツい友情と恋と人生の歌をききまくっていたために、いまとなっては完全にそれらが苦手な体質に(笑)たぶん、一生の中で青春的なものを許容できる閾値をすでにこえてしまったのでしょうねぇ。たとえ話、物語的、寓話ふうで比喩が多いのもやっぱり「ああああ!はずかしい!」と。
そのため、ロキノン信者が通るべき道であるばんぷがまったく聴けないのです。藍坊主、ラッド、林檎も、その理由だなぁ…」

み 「青春の許容値か。また凄い面白いこと言ってるぞ(笑」

ゆ 「あと、比喩と寓話がだめなのは、自分自身なにもかも単刀直入に言ったり書いたりするからでしょうね。比喩や物語化や装飾は、どうしても格好つけているように見えてしまいます。まーたそんなきざったらしいこと言ってー!こっちが照れるわ!とか勝手におもってしまいます。ううむ」

み 「なるほどなるほど(笑)僕は青春、好きなんですけどね。まあ所謂青春パンクなんかにはコミットできない部分が多々あるんで、ちょっと別物なんですけどね。青春、そうだな、明瞭な具体性のある物語といった方がいいかな。で、物語性のあるものが好きと言っても、日常に即してないとダメで。やっぱりバンプとかの寓話性、童話性っていうのは、基本的に根拠の乏しい希望を呈示してくる傾向があると思うのね。ああいうの聴くと、そんなわけないじゃん!て思っちゃうからさ。幻想だよなーって。そういう意味ではゆらちゃんの「格好つけてるようにみえちゃう」てのとも繋がりがあるのかもしれないけど」

ゆ 「寓話なら、good dog happy menが極端な例だったけど、あれはやっぱりだめでしたねえ。曲はすきなのもあったのに。People In The Boxも、変拍子の曲自体はわりと好きなのに歌詞がいまいちでした。でもネクラ可愛いロックだから聴けるには聴けるな。ばんぷは、信者がたくさんいるし、批評できるほど聴いていないのでこれ以上なにもいいますまい…(苦笑)」

み 「まあ、聴いてないのであまりいえないってのはホントその通りなんで黙らなくちゃいけないですねwただなんていうのかな、「現実が楽しくてしょうがない!」って人は別にいいんだろうけど、そうじゃない僕みたいな人間―たぶんさっき名前が出たようなバンドを聞いている人達も同じようなものだと勝手に思ってるんだけど―には、やっぱりそういう希望ばかりちらつかせるんじゃなくて「現実はどうしようもなくダメなんだ」って事を一度認めたうえで「それでも生きていくしかないんだ」という答えの出し方の方が正しいと思うんだよね。昔みたいに明確に反抗すべき対象がない時代・国においては、そういうところを突破していこうぜ!っていうのがロックの役目となると思うし」

ゆ 「つらくなかったらロックなんて聴かないし、しんどくなかったらロックなんてやらないとおもいます。生きていくためには音楽にすがるしかないような人間もいますから。そういう人間のために、くるしい、暗い、どうしようもないのが現実、でも生きていけばこんなこともあるし、ね、いっしょにいこうじゃない、くらいの提案をしてくれるとほっとしますね。現状を直視して、醜くも下品にもなってほしいですねぇ、ロックバンドには」

み 「"現状を直視して、醜くも下品にもなってほしい"まさにその通り。こういう若者がいるというだけで、僕は凄く嬉しいですよ」

ゆ 「青春の感じがあるものは、一生で摂取すべき要領があるのかも。完全に成人化するまでには、青春ものを好むの通過儀礼なのでしょうかね。私は根幹に、暗さ、不安、かなしみ、不安定があるのでそれにほんのすこし、しあわせなかんじを入れたものにものすごく反応するんですよね。どんなに恋をしていても、売れ線恋愛ソングにはまったく感情がうごきません。でもたまに若い気持ちになりたくなってふとモノブライトやアジカンを聴きますけど」

み 「モノブライトは凄く「10代」って感じがしますね。あれこそあるべき青春の姿というか。根底に暗さや不安等に通じる「満たされない想い」みたいなものがあるから、ああやってねじれちゃって童貞性のある変態くささが出ちゃう、みたいなね。フジファブリックが新作「TEENAGER」で切り取った10代とはまた違う感じ。あれは彼らの年齢から考える10代。あの歌詞の内容でタイトルに「若者のすべて」なんてつけちゃう辺りなんかまさにそう。でもモノブライトはそうじゃないもんなあ。どっちが良い悪いじゃなくて、凄く面白い。売れ線恋愛ソングってそういうの否定するというか隠しちゃうから、余計に思うよ」

ゆ 「モノブラは、まっとうに青春ですよねぇ。ほれぼれ。下品だし、閉塞してるし、衝動がありあまっているのにそれを放出するとすごくかわいいらしいかたちになってしまうなんてもう、とんでもなくいい思春期少年のありかただなぁと。「頭の中のSOS」は、桃野がふられてパニックになって、世界がおわってしまいそうなくらい絶望したときにできた曲。いわく、「僕の悲鳴はダンサブル」あれが絶望の表象だなんて!いいなぁ」


ここでお時間…。

み 「というわけで全然今年の話してないですけど(笑)まとめです。来年以降も日本のロックに、期待していいですかね?」

ゆ 「来年以降も、ロックは死んでいないと信じたいです。個人的には、今年ちょっとさめてしまった9mm、アジカン、POLYSICS、ビークルあたりを追うのかが悩みどころですが。決定的名盤はないものの、定期的に佳作をリリースするGRAPEVINEとACIDMANにはあいかわらずの健闘を期待ですね。APOGEE、オウガあたりの若手変わり者叙情系にはさらなる進化があれば。そして、くるりがどう出るかですね。」

み 「くるりの「次」は僕も凄く気になってます。ああ!さっきと一緒でまだまだ話したりないですね!ありがとうございました!」
 
posted by みかんぱ at 21:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽
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